
IoTで身近な人達を幸せにするビジネス
目次
測ることでモノの買う・保管・消費を変革
――メディアからも注目される御社のIoTスマートマットについて教えてください。
一言で言うと在庫を測る専用の体重計で、インターネットに繋がっています。在庫専用のIoT重量計ですね。購入頻度が適当に選ばれて、まず当たらない、定期購入の仕組みを改善できないかよく自問していたんです。欲しいタイミングに商品が届かない問題を解決したいと考える間に、最初は購入履歴から規則を見つけて予測させるソフトウェア学習を試したんですが、うまくいかず。じゃあ、残量を測るしかないじゃないかと、ソフトウェアからハードウェアへ視点を変えました。残量を測るのに、重量が一番良さそうだという結論に至って、スマートマットを作り始めました。
一般家庭に置いて、測って、一番安いところから勝手に届いたら良いなと思っていたんですが、テストマーケティングすると、ビジネスのお客さんから引き合いが多かったので、今はビジネスのお客さん中心に展開しています。
――測るものは?
最初はオフィスの来客用ドリンクとコピー用紙だけをイメージしていたんですが、嬉しい発見が2つありました。1つは業種を問わないこと。例えば工場のネジでも使いたいとか、ホテルのドリンクとかリネンとか、病院の点滴で使いたいとか、世の中いろいろなところで困っている業種があって驚いています。もう1つは、買い物を自動化することだけ考えていたんですが、最近はビュッフェのカレーの下に置いて補充を効率化とか、ゴミ箱の下に置いて回収を効率化するとか、買う・消費する以外の、サプライチェーン全体の中で不便なところが便利になっています。思ったより用途が広くて、いろんな使われ方してるのが現状です。
飲食や小売店舗でも什器に組み込んでいただく形が増えましたね。これを覆う様な什器作ってくださったり、棚をくりぬくことを考えてくださったり。我々そこまでノウハウがないので、自分たちで完全に作ることができないところを、お客さんが補って売ってくださっています。
――ユーザーさんが自分で考えて使用例を出してきてくださる。
我々も最初は営業で格好よく仮説を持って効率化できます!って言っていたんですが、こういう使い方もあるとお客さんに教えてもらいながら、用途が広がっていく感じですね。僕らは全業種の業務がわからないので、教えて頂いています。だからうまくお客さんにヒントを渡して、考えてもらう営業を心がけています。
身近な人が幸せになる事業がしたい
――今のお仕事で楽しいと思える瞬間は?
社員を50人から100〜300人に増やそうとしているので、どの組織にも一度だけある、会社の土台作りができているのが楽しいです。例えばソニーのソニーらしさってこういう時期にできるんだな、と。会社のカルチャーだったりノリだったり、ここからちゃんと確立していくプロセスに触れられてるのが楽しいです。
あとは、ニッチなお客さんに深く刺さるサービスより、なるべく身近な人も含めてたくさんの人が幸せになるサービスを作りたいと元々思っていたのが、その通りになっているのが楽しいですね。コンサルの時は閉鎖した空間で偉い人たちと話して1本1億とか、そういうビジネスをしていましたが、アマゾンの時に200円の歯磨き粉を売っているのも楽しかった。そういう好きなことが今もできていて、しかも自分のサービスが世の中に広がっていく感覚が楽しいですね。
世界のインターネット領域で戦える会社にしたい
来年1〜2カ国、海外展開を考えています。インターネットの世界ってアメリカの偉大な会社が世界的にうまくいっていて、日本の会社は挑戦するけど勝てていない。そこにハードウェアを絡めると日本人の何かが詰まっていそうな、良い見え方のするポジションにいると思うんです。せっかくIoT領域にいるので、日本発で海外でインターネットの領域で戦える会社にしたいですね。
あと、一度は諦めた一般家庭向けの展開を着々と進めていきたいです。小さいサイズや最初からキッチンに埋め込む形とか、インテリアに溶け込む形で普通の家で使われる様にしたい。一番身近なところが幸せになる絵を見てみたいですね。
元々5年働いて1年休むっていうキャリアプランを持ってたんですが、中々うまくいかなくて、このところ結構長く働き続けてるんです。老後に時間ができてもエネルギーが失われている可能性があるので、エネルギーとちょっとのお金とちょっとの人脈がバランスよく揃っている今のうちに1年休んでいろいろなところを回ってみたいです。メルカリの社長さんも世界一周して起業したり、僕もそういう刺激を受けると発想が広がるので、そういう働き方がしたいと思っています。