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IE Business School Japanese Alumni Chapter | 食を支える企業を経営する
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食を支える企業を経営する

Apr 09 2019

食を支える企業を経営する

 

フードビジネスを支える厨房機器

――今のお仕事、そしてフジマックという会社について教えてください。

 

フジマックは業務用の厨房機器を作る会社です。業務用キッチンはホテルや病院、飲食店、従業員食堂、意外なところではデリバリーピザ屋さん、船、コンビニと、いろいろ場所にあります。1964年、前回の東京オリンピック前に、ホテルニューオータニ様が西洋式の大型厨房を日本で初めて作ることになり、私の祖父が受注したんです。ホテルの西洋式厨房の納入実績が出来、現在は日本のラグジュアリーホテルの約70%と取引をさせて頂いています。

 

――ラグジュアリー・ホテルということは、ハイエンド向けということですか?

 

ハイエンドというより、厨房の設計や製品のカスタマイズなどにも柔軟に対応するので、こだわりの厨房を作られるお客様が多いです。特注比率は業界でダントツですね。それから海外製品を輸入して納入するということもしています。お客様のニーズを聞いて、専用機械を開発製造もしています。機器の搬入、施工、アフターサービス、メンテナンスまで含めてトータルでサポートしています。電気やガスの直接施行はしませんが、知識は当然必要なので詳しい社員が多いです。排水やグリストラップの設計、床工事なんかもやりますよ。

 

――御社のプロダクトの特徴、差別化ポイントは?

 

この業界は専業メーカーさんが多く、熱機器と、冷機器両方作っている会社があまりないので、差別化できています。製造機種の数は業界で圧倒的に一番だと思います。あとは施工面で、大規模ホテルや、衛生管理が厳しい病院厨房のノウハウが蓄積されているのも強みですね。実は小規模店舗でもナショナルチェーンのように店舗数が多いお客様から、オペレーションを改善する特注製品開発なども引き合いを頂いています。例えば、ホテルが新しく建つ場合、建設会社さんや設計会社さんも厨房設計の細かいことまではよく分からない。どのぐらいのスペースがいるのか、そもそもどんな機器が必要なのか、我々のような厨房機器メーカーに依頼が来ます。

 

あと病院の場合は調理方法も特殊なものがあります。人手不足なので現場で人を確保できないとなると、給食会社さんのセントラルキッチンで作った料理を急速冷却して、その料理を配送して現地で再加熱する、という方法があります。

 

今非常に導入が進んでいるクックチル、ニュークックチルなどの提供方法で、専門の設備と提供ノウハウを持っていないとできないんですが、フジマックは近年その施工実績が非常に増えているので、新しく導入したいお客様にアドバイスをしたり、図面を引いたりしています。大型プロジェクトは工程管理や建設会社と打ち合わせとか、結構専門知識が必要なんです。そのノウハウをうちはかなり持っていると思います。施工もできるプロフェッショナル人材が多いです。

 

――海外展開についてお聞かせください。

 

中国・東南アジアを中心に輸出しています。業界の中ではかなり早く、1982年からシンガポールに進出しています。シンガポールを拠点として、タイ、ベトナム、カンボジア、グアム、台湾、北京、上海、香港。それから工場は、日本の福岡のメイン工場に加えて、上海とホーチミンにもあります。上海の工場は、現地の販売子会社と力を合わせて生産も増えてきていますね。

 

――海外展開も製造だけでなく販売もしているのですね!テクノロジーの進化はどうですか?

デジタル産業と違って、調理手法の煮る、焼く、炒める等は大昔から変わっていないんです。ただ、調理のオペレーションは進化していて、例えばフジマックのバリオクッキングセンターは、省スペースで煮る、焼く、炒める、揚げる、圧力調理が一台で全部できるので、日本の狭い厨房スペースの中の機械としては非常に優秀です。それにパワーが非常に強いので、常温から200度まで2分で達しますからね。調理における予熱完了までの時間を減らせるので調理時間が短縮して、提供時間も早くすることができます。また温度コントロールも非常に正確なのでミシュランの星つきレストランや、ホテル、病院、エアラインケータリングなど様々なお客様にご満足頂いています。

 

――調理のオペレーションの進化の背景とは?

 

人口が減っているのも影響して、調理師になろうという人材も減っているようで、調理師学校も設備を充実させて、最新の機械を導入していますね。また、料理はどうしてもまだ手作業が多いので、働き方改革の関係と調理師不足もあって、非熟練の作業者でも調理ができるようなシステムや機械も求められています。このバリオクッキングセンターはボタンを押したら簡単に卵焼き等が作れます。「卵焼きをちょっとかき混ぜてください」「今、巻いてください。」という指示が出るんです。巻くのも簡単な巻きやすい器具があるので、僕がやっても簡単に巻けるんですよ。

 

他にも、ローストビーフは、オーブン調理を始めると中の状態がわからなかったんです。昔はシェフが途中で熱いオーブンに手を突っ込んで「このぐらいの堅さならもう少しだな」という判断基準が多かったそうです。今のコンビオーブンという弊社のオーブンは芯温センサーがあって、針で食材を刺すと中の温度を拾ってくれるんです。中心温度が何度になったらちょうどいいか教えてくれるので、非熟練の調理人が作っても美味しいローストビーフが作れます。熟練調理人にも満足いただけ、非熟練の調理人でもおいしい料理ができる、そういうものが求められていますね。

 

省スペースで多様な調理ができるバリオクッキングセンター 写真提供元:(株)フジマック

 

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