
オンラインMBAで得たかけがえのないもの
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Episode2: Forumでのせめぎ合い
プログラムが始まって以来、出張や帰省にも常にPCを持ち歩いて、フォーラムをチェックしないと時間がとても足りません。フォーラムでも皆それぞれに戦略があるようで、なかなか面白いです。いつも最初に威勢よく意見を投稿するスイス人のAlirezaは、先行逃げ切り型。ノルウェー人のPradeepは20人くらいコメントが出るのを待って斬新な意見を切り込む、後半追い込み型。私は、図表を活用して議論を展開する作戦。
ただ、今週のトピックはコーポレートファイナンスで、ちょっと一筋縄ではいきません。DisneyとPixarの合併に関して、Pixarの企業価値算出のお題が月曜日に出されてから、既に丸1日誰も投稿していません。Alirezaも、今回は静観を決め込んでいるよう。具体的な数字が問われているから、最初にコメントするのは分が悪い。資本コストや永久成長率の前提も、突っ込まれないよう説得力のあるものにしておきたいところ。
DCFやEV/EBITDAの計算が多少間違っていても、早めに投稿してポイントを稼ぐか、それとも誰かがコメントした後に、少し視点を変えてM&A後の管理体制の観点からの意見を投じようか。
Global MBAで得られたもの2:視野の拡大
毎週のフォーラムでは、協力的な雰囲気ながらも競争力のある意見出しに向けた駆け引きがあります。基本的な質問に回答するのに苦労はしませんが、低い評価ポイントしか稼げません。他人と異なる視点を投げかけたり、難易度の高い質問に回答したりすると高ポイントがもらえます。毎週のフォーラムで投稿できる数も限られていますので、戦略的なアプローチが求められます。
そんなことも楽しみつつ、このフォーラムは私の視野を広げるに大変役に立ちました。私はこれまでコンサルティング会社と金融機関での勤務経験があったので、コーポレートファイナンス、ストラテジー関連の科目は肌感覚がありましたが、GMBAの授業はより実践的な内容でした。
例えば、先のDisneyとPixarのM&A時における企業価値算出とM&A後の組織設計の検討は、机上の勉強レベルではなく、そのまま実務レベルで応用できる内容でした。IEで学習したことを、翌日から即座に業務に活用できるのはGlobal MBAの長所の一つです。
一方、オペレーションマネジメント、サプライチェーンは経験のない分野だったので、当該業界出身のクラスメイトの経験やフォーラムでの討論は、私の知的好奇心を大いに掻き立てるものでした。この2科目では、日本関連のケースも使用されていました。日本の回転寿司のスシローによる顧客行動のBig Data解析、米国NYのレストラン「ベニハナ・オブ・トウキョウ」による店舗レイアウト戦略は、オペレーションマネジメントの奥深さを感じるとともに、日本人によるビジネスセンスの魅力を再確認しました。